厚生労働省と文部科学省は、今春の大学生就職率が91,8%だったと発表した。若者の厳しい状況を示すデータはまだある。2009年の完全失業率は、全年齢平均5,1%に対し、15~24歳は9,1%。雇用者のうちの非正規雇用者の割合は、15~24歳が他の世代より突出して高く30%台が続く。若年無業者(15~34歳)は約60万人。卒業から3年以内に、高卒者の約5割、大卒者の約4割が離職してしまう。 長い間日本では、企業が新規学卒者を一括採用し、企業内での教育・訓練を通じて、社会的、職業的自立を促す仕組みが機能していた。しかし、それは日本型雇用慣行の崩壊と共に失われつつある。そうである以上、学校は目の前の生徒・学生を、社会・職業に円滑に移行させる責任主体として、キャリア教育、職業教育の必要な改善を図り、充実させることが求められる。高校生の時期に、人間関係や社会との関係を形成する能力や、自己理解力、自己管理能力、キャリアプランニング能力などを育成すべきである。私は普通科で進学指導を担当しているが、将来の職業について早い段階から意識をもつ生徒ほど、大学に明確な目標を持って進学するという調査結果もある。 本校では、11月にさまざまな職業分野のエキスパート37名を招き、「職業理解のためのガイダンス」を開催する。このように本校では、進学、就職の進路を問わず、社会、職業への移行を見据えたキャリア教育、職業教育を、生徒の成長段階に応じて数多く実践している。