晴れて、卒業証書を手にされ学び舎から巣立つ225名の皆さん、卒業おめでとうございます。
皆さんは、よき師と出会い、よき友とめぐり合い、その絆を大切にして、本校の「私学文武両道」のもと、学習、資格取得、部活動等の教育活動に邁進し、それぞれに思い出多い、意義深い高校生活を送られたと思います。
今皆さんの胸に去来するものは、クラス仲間と教室で教え合った思い出をはじめ、沖縄への修学旅行、青春のエネルギーを燃やした公開の学院祭や校内競技大会等の生徒会行事、そして、全国大会出場・制覇を目指した部活動、更には愛の業としての奉仕活動等であろうと思います。
特に部活動では、野球の甲子園連続出場・春選抜ベスト8・プロ野球入団、またサッカー・女子バレー・ハンドボール・剣道・柔道等のインターハイ等全国大会出場など、その他の部活動等を含めて、スポーツ聖光の名を全国に馳せる歴史に残る活躍でした。
このような部活動の実績、そして工業科を中心とするマイスター顕彰資格取得等により、大学進学・就職等の進路において輝かしい実績を残し、皆さんは本校の歴史に新たな1ページを書き加えてくれました。
さて、卒業生の皆さんに晴れの門出に当たり、3つのことをお願いしたいと思います。
1つ目は、「主(神)にしっかり繋がっていること」であります。卒業後も、聖霊の導きの中で、神としっかり繋がり人生を歩んでください。
2つ目は、「何事も愛を持って行なうこと」ということであります。
昨年12月に天に召された南アフリカの元大統領ネルソン・マンデラ氏について紹介いたします。氏は、ノーベル平和賞受賞者した南アフリカの偉大な指導者で、また、メソジストのキリスト教徒でした。人種隔離に反対し国家反逆罪で27年間、獄中生活を送り、出獄後は、南アフリカの大統領となり、報復ではなく、赦しと和解の道を選択、黒人と白人の融和に尽くした人です。
氏の重要な政策の一つに「恩赦」があります。「差別した罪を正直に告白する者には、恩赦
を与える」と発表し、その時の大臣の一人が罪を告白しました。氏は、その大臣に、子どもの命が奪われた母親達の前にひざまずき、足を洗うようにと促しました。
大臣はセッケンとブラシとタオルを持って母親達の前にひざまずきました。すると松葉杖
の女性が靴下を脱いで、足を差し出しました。大臣は涙を流し、また足を洗われている彼女も泣き、皆泣いて、罪の赦しがなされました。罪の告白、そこには赦しがあり、受けた傷も癒されます。正に聖書的な政策(恩赦)でした。
マンデラ氏は苦難・忍耐の中で「南アフリカを一つに」という希望を持ち、獄中で人格を
磨き、信念・志を持ち続け、ついには自分の夢を実現しました。マンデラ氏から私達は、キリストの『愛と赦し』を学ぶことができます。
聖書の第Ⅱコリント13章に愛について、「愛は忍耐強い。情け深い。ねたまない。恨みを抱かない。全てを忍び、信じ、望み、耐える。(要約)」とあります。愛は結びの帯として完全です。“愛の心”は頑なな人間の気持ちを作りかえ、互いの心に“平安と信頼”を与えます。
3つ目は次代を担う若い皆さんが「日本・世界の人々のために貢献する人になってほしい。」ということであります。
最近、万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の作製に成功し、世界を驚かせた理化学研究所の若い研究者、小保方晴子さんについて紹介いたします。
これまでの細胞生物学では「生命の基である受精卵は分裂を繰り返し、皮膚や筋肉、神経などの様々な組織に育ちます。いったん育った細胞は元の万能細胞にはならないとされていました。」この常識を覆したのです。この種の研究は、一昨年、iPS細胞の作製でノーベル賞をもらった山中伸弥教授もその一人ですが、今回は、細胞を弱酸性の溶液に浸すだけという簡単な方法でした。
この発見は、ニュートンの万有引力、キュリー夫人の放射能の発見に匹敵するという科学者もおります。
最初、この研究論文を英国科学誌「ネイチャー」に投稿したとき、「あなたは過去何百年の細胞生物学の歴史を愚弄(ぐろう)するのか」と酷評され、悔し泣で夜を明かしたそうです。米国ハーバード大学留学の時、自分の研究発表の前に、1週間ほとんど寝ずに関連する論文を約200本読んだという努力家でもありました。
彼女は自分の研究について、病気のため臓器をなくした人々の救済、癌化抑制の技術の開発、再生医療等、世界の人々のために貢献したいと述べています。
若い皆さんにお願いいたします。卒業後、皆さんは、様々な仕事に就くと思います。どうか、小保方さんのように信念を持って、最後まで、諦めず努力する人になってください。そして、隣人を愛する「神の愛」の精神を持って、被災地福島・日本の復興のため、アジア・世界の人々のために働き、貢献する人になってください。
主により頼むものには新たな力、希望が与えられます。聖光学院で3年間学んだ皆さんこそ、その使命を帯び、神にあってこそ希望があることを、発信していって欲しいと思います。
本校の校訓「神と共に働く人に」の精神を胸に秘め、これからの人生に大望を抱き、使命と情熱を持って、新天地に飛び立ってください。“世の光”、“地の塩”となり活躍することを期待いたします。
旧約聖書(ヨシュア記)に『強く雄々しくあれ、うろたえてはならない。おののいてはならない。あなたがどこに行ってもあなたの神、主は共にいる。』とあります。皆さんの前途に様々な苦難があるかもしれませんが、主は皆さんを必ず勝利・祝福に導いてくださいます。
卒業生の皆さんの未来に、神様の豊かな祝福がありますようお祈りし、“卒業生へ贈る言葉”といたします。