2013年を迎え、つい先日まで「あけましておめでとうございます」と挨拶してたかと思いきや、気がつけばあっという間に1月も終わろうとしています。
私が高校生の頃だったかと思います。30歳を過ぎたくらいのお兄さんにこんなことを言われた記憶があります。「20歳超えたら時間が経つのが速いと感じたけど、30歳過ぎたらもっと速く感じるから、今という時間を大切にしたほうがいいぞ」と。その時は、「ふ~ん」と流して聞いていたものの、妙にその言葉が脳裏の片隅に残っていました。当時のお兄さんと同じような年代になった私は、その言葉の意味が今になって深く実感できるようになっています。
昨年の年末、野球部の取材に訪れたフリーライターの方と談話中に次のような話になりました。
(フリーライター:以後F)「高校三年間って、一年生の時は余裕がないから長く感じて、二年生になると短く感じようになり、三年生になる頃には「あっ」という間に終わってしまうんですよね。それってなぜだかわかります?」
(私:以後I)「わかるような気はしますけど、なぜなんでしょうね。」
(F)「先日、禅の本を見ていたらこんなことが書かれていたんです。」
(I)「禅の本ですか?何て書いてあったか興味ありますね。」
(F)「一年という時間を考えてみると、二歳の子にとっって一年は人生の半分です。しかし、三歳になれば三分の一。四歳になれば四分の一・・・・というように、同じ一年でも、その人にとって一年の感じ方もどんどん変わっていきます。ですから歳を取れば取るほど、一年は短く感じられるものなのです。」
(I)「なるほど~!!説得力がありますね。確かに一度経験した道って次通ろうとしたら短く感じますね。どこか旅に出る時なんかも、行くときは時間も場所も景色も何もかも全てが分からないから長く感じるけど、帰り道って同じ道のはずなのに凄く速く感じますね。」
(F)「でしょう。だから人生が終わるとき、「あっという間だった」となるらしいのです。このことを禅の言葉でいうと『無常迅速』というらしいのです。」
(I)「『無常迅速』ですか。素晴らしい言葉に出会いました。ありがとうございます。」
人生のこの瞬間は、今しかありません。たとえ同じようなことがあったとしても、そのときには年齢も違うし考え方も違うのです。変えがたいこのときを、どう生きるか。その時間の接し方によって、その人の命の深まりが変わってくるのです。
一日を精一杯。それが一月の精一杯になり、一年、さらに一生となるのです。(Y・I)
金嶽宗信著「いい人生をつくる はじめての禅のことば」より