3月16日(水)夕刻、私の携帯に一本の電話が鳴りました。
一年前、消防士として小高分署配属になって任務に就いていた卒業生からでした。
「地震・津波・原発事故により避難勧告が出されたにも関わらず、被災者の救助、捜索に町の役場職員と消防署員だけで命がけで取組んでいます。しかし、町は既に廃墟と化し誰一人として残っていません。今は、放射能による被曝を覚悟で救助、捜索に当たっています。正直言って、憧れの消防士になれた喜びが半分と、このような事態になってしまって後悔が半分です。今、僕たちのほかにこの災難に立ち向かう人が見当たりません。とても、複雑な気持ちです。放射能の影響が恐ろしいですが、死を覚悟しての任務に休み無く当たっています。今日、4日ぶりに非番になって、原町分署で休息を取っていた中、先生のことが思い出されたので電話しました。」とのことでした。
何とも悲痛な叫びに、涙が止まりませんでした。
返す言葉も無く、ただひたすら彼の話を聞くのが精一杯でした。
「いろいろな苦しみ、悲しみ、心配は尽きないだろうが、生きてさえいれば何とかなる。どんな事態になっても、決して諦めるんじゃないぞ! この次、必ず笑顔で会う約束をしよう! 望みを捨てるなー!・・・。」もう言葉になりませんでした。
彼と電話で話した時間が「47分28秒」でした。 彼の無事を祈り、「絶対に死なない英雄であれ」という願いを込めるとともに、いつまでもこのことを忘れないでいるためにも表題の言葉に、このときの時間をもじりました。 彼との最後のやり取りは、「俺からこの電話を切ることは出来ない。」 「はい、わかりました。先生、お元気で!」でした。
・・・・「俺との約束を忘れるんじゃないぞ!!」N.E