「先生、数学って社会に出て何に役立つの?」こんな質問をよく受けます。そしてその答えで、生徒を納得させることの難しさを痛感させられます。今回発表された学習指導要領では、小学1年生から高校1年生まで、すべての学年で何らかの形で、「統計」に関する内容が算数・数学に含まれ、反復学習できるようになりました。高校では、数学Ⅰで「データの分析」が必修項目として追加されました。今までの学習指導要領では、「統計」は数学B・数学Cの中で選択項目としてありましたが、大学入試にあまり出題されないという理由から、選択していないのが現状です。「統計」は、数学のほかに地歴公民科や理科においても、資料のグラフ化や実験データの整理で使われますが、体系的に学ぶという点からみれば数学での履修が望ましいと思われます。ところで、実践女子大学人間社会学部准教授・竹内光悦先生の教育情報誌レポートによると、企業が大学で学んで来てほしい数学の知識として、文系理系を問わず、「統計学」が上位にあげられているという調査結果を報告しています。これは「統計学」が企業活動の中で、基礎教養として必要であることを表しています。現代は知識社会と呼ばれるように、情報を得るだけでなく、情報を活用し、意思決定や状況判断を適切にするスキルが必要とされています。データに基づく意思決定などを考える統計的推理力や統計的思考力が要求されているのです。先にも述べましたが、新学習指導要領では、小学1年から高校1年まですべての学年で「統計」に関する内容を学習します。ねらいは、データを活用した、より社会で利活用できるスキルの習得を目指すことのようです。「統計」を通して社会における数学の展開を期待したいと思います。そして生徒から、「先生、数学って社会に出てぜったい必要なのでがんばって勉強します」と言われるよう、生徒の興味をそそるような教材の研究に励んでいきます。 by MTYK