晴れて、卒業証書を手にされ学び舎から巣立つ247名の皆さん、卒業おめでとうございます。
皆さんは、よき師と出会い、よき友とめぐり合い、その絆を大切にして、80/3mindの精神を培うべく、「文武両道」を目指して、学習、資格取得、部活動等の教育活動に邁進し、それぞれに思い出多い、意義深い高校生活を送られたと思います。
卒業式は皆さん一人ひとりが、自分の将来の夢や希望に胸ふくらませ、自覚と決意を新たに、社会に向け船出する日です。皆さんを待ち構えている現実の社会には、多くの課題があります。
日本国内においては、少子高齢化・情報化社会の進行、大震災後の原発放射線汚染未収束、戦後70年、日本の平和を支えてきた憲法9条の解釈改憲等、行く先危ぶまれる政治、そして経済の低迷。世界に目を向けると、地球環境問題、人口と食糧問題、地域紛争・民族・宗教問題、アメリカの指導力が揺らぐ中、中国の台頭、イスラム過激派を巡る中東の動向等、世界情勢は正に混沌として不透明です。そんな社会に向け巣立っていく皆さんに、私から次の3つのことをお願いしたいと思います。
1つ目は、「国際社会への関心を深め、日本・世界を視野に、平和のために働く人になってほしい」ということです。
大震災後4年目を迎えます。いまだ郷里に帰れず、県外、あるいは仮設住宅等に避難している人々がおります。被災地の復興・再生のために祈り、働く人になってください。
今後、日本は海外経済の動向を見ながら企業人として働かなければなりません。また、海外勤務をする人も増えることでしょう。聖光学院の同窓生3期生の中には、日本でも海外渡航が極めて少ない時代、カナダに移住し、企業人として活躍され、今もカナダに在住し、カナダから母校の皆さんへエールを送っている鈴木実さんなどもおります。
どうか、皆さん、日本・海外、どこにおいても、人種・国籍を超え、世界の人々と仲良くし、日本・世界の平和のために働く人になってください。
また、卒業生の中には、本校の建学の精神「キリスト教精神」の教育により、神様の召命を受け、牧師として献身し、主のために働いている同窓生もおります。もちろん、プロ野球選手、プロサッカー選手もおります。卒業生の皆さん、どうか、卒業後、それぞれの置かれた場所で、しっかり神様につながり、根を張り、自分らしく花を咲かせてください。
2つ目は、「何事にもチャレンジ精神を持って、挑戦してほしい」ということであります。
2014年のノーベル物理学賞は、青色発光ダイオード(LED)の開発で世界の暮らしを変えた日本の3氏(赤碕勇教授、天野浩教授、中村修二教授)に与えられました。発光に必要なチッ化ガリウムの結晶をつくり、製品化まで,凄まじい苦難、忍耐の研究の戦いがありました。世界の他の科学者が諦めたことを40年間、成功を信じ、希望を持って、朝から夜まで、失敗連続の実験を繰り返し、遂には人類に貢献する開発に成功しました。3氏は口をそろえて「チャレンジは若者にしかできない。何事にも諦めないで挑戦する気持ちを持って立ち向かってほしい。」と若者にエールを送っております。
新約聖書(ローマ人への手紙)に「・・苦難をも誇りとします。私達は知っているのです。苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むと言うことを。」という言葉があります。
卒業生の皆さん、どうか、自分の夢・希望に向かって、チャレンジ精神を持って前へ突き進んでください。
皆さんは、これから社会に出て、様々な困難・苦難に遭遇することがあるでしょう。しかし、神様に祈りながら人生を歩む時に、必ず、その困難・苦難は希望に変えられます。聖光学院で3年間学んだ皆さんによって、神にあってこそ希望があることを、証していってほしいと思います。
3つ目は、「何事にも愛を持って行なう人になってほしい」ということです。
これから皆さんが仕事を持ち、社会人として生きていくとき、何事も愛を持って行なってください。人間関係で悩むことがあるかもしれません。しかし、“愛の心”は頑なな人の気持ちを解放し、互いの心に“平安と信頼”を与えます。この“愛の心”は、人種・国籍を超えて働きます。愛は全てを完成させる絆です。
終わりに、本校の校訓「神と共に働く人に」の精神を胸に秘め、これからの人生に大望を抱き、使命と情熱を持って、新天地に飛び立ってください。“世の光”、“地の塩”となり活躍することを期待いたします。
旧約聖書(イザヤ書)に『恐れることはない、わたしはあなたと共にいる神。たじろぐな、わたしはあなたの神。勢いを与えてあなたを助け、わたしの救いの右の手であなたを支える。』とあります。皆さんの前途に様々な苦難があるかもしれませんが、主は皆さんを必ず勝利・祝福に導いてくださいます。
卒業生の皆さんの未来に、神様の豊かな祝福がありますようお祈りし、“卒業生へ贈る言葉”といたします。 (校長 渡邊 憲一)