第64回秋季東北地区高校野球選手権大会の決勝戦が12日、秋田市こまち球場で行われました。今夏は、歳内・芳賀の二枚看板や二年次からベンチ入りする選手が5名いるなど、個々の能力が高い選手が多く連なっておりましたが、今秋は、ほぼ総入れ替えという戦力でした。切り込み隊長としてチームを牽引した齋藤湧貴や中軸を担った川合祥太朗の二名以外は、初めて経験するフレッシュな選手たちでした。4連投し、今大会防御率0.00という驚異的な数字を残した岡野も三年生が引退した後、チームを背負うエースとしての強い自覚を持ち、今までと違った厳しい表情で練習や寮生活を送っている姿を目にしていました。また、陰の立役者ともいえる、捕手の長井も岡野の良さと相手打者を翻弄する好リードが冴えわたりました。強豪校がひしめく東北大会の中で、常に打ち込まれる恐怖感と戦いながら、強気でホームを死守する姿はまさしく扇の要といえる存在に成長してくれました。しかし、彼は入学時から順調といえるスタートではなかったのです。捕手として成長を期待されるもなかなかうまくいかず、育成チーム(本校ではA・B・育成の3班体制)の試合でも自分を見失う日々が続き、苦悩の連続だったと思われます。今年のチームは、長井を象徴するような選手が多くいました。主将でもある氏家や三塁手の京田、遊撃手の平野、右翼手の安西聡、数多くの選手が叩き上げで這い上がってきた選手たちばかりでした。そして、その選手たちを献身的に支える控え選手が多くいたのもチームがここまで飛躍できた大きな原動力となったのでしょう。
彼らが本気で東北の旗を獲り、明治神宮大会を目指していたのは決勝戦の戦いを終えた後の姿が全てを表していました。相手は今夏、甲子園で準優勝を果たした光星学院。中心選手が残る相手に、真っ向から挑みました。岡野の粘投虚しく1対3と敗れ、敗戦を現実にした選手たちはベンチで人目を気にすることなく、泣き崩れました。選手と共に戦ってきた指導者の目にも熱いものがこみ上げてきたことは言うまでもありません。「ご苦労さん」と握手すると、選手たちは口を揃え、「すみません・・・。す・み・ません。」と何度も何度も頭を下げ、肩を震わせながら手を握り返してくれました。
今回の敗戦によって残念ながら、明治神宮大会には出場できませんが、この敗戦と悔し涙を胸に刻み、長い冬を耐え忍び、球春到来する季節までには、一回りも二回りもチームが成長できるよう精進していきたいと思います。
今大会において、多方面より温かい応援や励ましの声を頂けましたこと、選手たちにとって大きな力と勇気を与えられました。心よりお礼申し上げます。有難うございました。(Y.I)