インフルエンザの猛威に怯えながら毎日過ごしておりますが、私が受け持つクラスの生徒達は現在、ヘルパー2級の取得のため、日替わりで実習のほうにお世話になってます。実習期間は全部で5日間と短い期間ではありますが、実習に行く前と帰ってきた後の表情や意識は別人のように変わってくるのです。今まで経験したこのない衝撃的な光景を目の当たりにし、福祉の現場の厳しさや生命の尊さ・生きるということについて深く考えさせられるものがあるのでしょう。
私達は常に明日が来るのが当たり前となっていて、その当たり前のことだからこそ感謝の気持ちが薄れていくものです。ご飯が食べられることや好きな服を着ること、携帯を使うことや今生きていることさえも全てが当たり前のことになっているのではないでしょうか。だから、人間は傲慢になり、欲ばかりが出て、今自分にないものばかりを求めるようになる。今目の前にある大切な物に感謝を忘れ、生きているようにさえ思える。
話はずれたが、そんな当たり前の日常生活から離れて、今の時間を必死に生きようとしている高齢者の方の姿を見て、生徒達の心にも何か感じさせられる思いが働くのでしょう。昨年実習を終えてきた3年生の中ではこんな生徒もいました。実習があった放課後、なぜかその生徒が泣きながら学校にいるのです。実習先で何か注意を受けたのか、怒られたのかと勝手に想像をしていたら、どうやらそうではなかったのだ。「正直、私は今まで適当に生きてきた。面倒臭いことがあれば常に逃げてばかりいた。頑張るくらいだったら、楽なこと選んででもどうにか生きていけるんだと。しかし、今日実習先で見た高齢者の方は体に不自由な思いがあるのに、必死にその体を使いながら生きようとしている。同じ命であるはずなのに。私の命は生きていないのでは・・・。」少なからず、その生徒の中で言葉では言い表すこのできないほどの尊いものが感じることができたはずです。
昨日の朝、HRに行ったときクラスの全員がマスクを着用している姿には感動を覚えました。当たり前かもしれませんが、生徒達の意識の中に自分自身を守るためだけではなく、まだ会ってはいない利用者さんの姿がしっかりと見えているのです。相手の命を守り、相手を思う気持ちがマスク一つに表れ、生徒達の成長を感じることが一瞬でした。(Y・I)