余りにも早すぎる敗戦となりました。
報徳学園に2対3。接戦は予想していました。しかし大きなポイントは、送りバント。相手がすべてバントを決めてきたのに対し、こちらは送るべきところで送れなかった。そして注目の小園選手に4打数3安打、そのヒットがすべて二塁打となり、そしてすべてが点に絡む。昨年の広陵中村選手もそうでしたが、小園選手、素晴らしい選手でした。
もう少し長く、このチームで試合をしたかった。それが正直な気持ちです。本当に素晴らしいチームでした。技術力もそうですが、とにかく1年の頃からまとまりが良かった。いろいろあったけど、自分たちで話し合い、自分たちで解決し、いつもプラスの答えを出してきた。愛されるチームでした。負けたのは、我々首脳陣の責任。もっと力を引き出してやりたかった・・・。本当に申し訳ない。
このチームの歩みは、本当に誇れるものだった。
初めての秋の東北大会制覇、そして明治神宮大会出場。福島県史上初の開幕試合となった春の選抜。そして秋春連続の東北大会制覇。そして負ける怖さと戦った夏の県大会。甲子園では力を出し切ることは出来なかったけれど、このチームの足跡は決して色褪せることはありません。
衞藤慎也。
怪我で苦しみ、戦い続けた高校野球人生。しかし最後の夏はベストピッチ。自己最速MAX146km/hまで伸びたストレートは、彼の歩みの象徴。野球を楽しむセンスはピカ一。投手経験は浅く、これから大学で本当に楽しみな選手です。彼は将来プロになれる素材。ぜひ実現して欲しい。
大松将吾。
精神的に本当に成長してくれた。最後はバントミスもあったけれど、夏の県大会決勝で最後にグランドで倒れた姿は聖光野球の象徴。やりきるとはこういうことだと身をもって示してくれました。
須田優真。
彼もケガで苦しんだ。右肘を3回も手術し、膝の靭帯損傷も経験しました。しかし、チームが苦しいときはいつも彼の強打がチームを救いました。秋の東北大会決勝戦の勝ち越しホームランは、私自身一生忘れないものとなるでしょう。
田野孔誠。
努力家で直向きな真っすぐな選手。リードオフマンとして、チームを牽引してくれました。堅実な守備とシュアな打撃。このチームの初代主将として、チームの礎を築いてくれました。歴代でも有数のショートストップに成長してくれました。
星歩志。
甲子園でみせた3安打は彼の打撃技術の高さを象徴する素晴らしい内容でした。心優しき人間で、誰からも愛されるキャラクター。このチームでなかったら3番を打てる頼もしき男です。
横堀航平。
俊足・強肩。勝負強さはピカ一。その源はチーム一の練習量です。1年の学年別では守備と足を買われて9番打者でのスタートでしたが、努力一筋、不動の2番打者としてどの大会でも高打率をマークしました。これからの聖光学院で語り草、模範となるべき存在でした。
五味卓馬。
頼もしき中軸打者。豪快なスイングで長打を量産してきました。明るくアグレッシブで、苦しい時もそんなそぶりを微塵を見せずにチームを鼓舞し続けてきました。彼のエネルギッシュな姿勢が、どれだけチームに勇気をもたらしてくれたか分かりません。
荒井秀人。
表面には出ることのなかった裏キャプテン。矢吹が日なたなら荒井は日陰の存在。プレーヤーとして苦悩した表のキャプテンを支え、チームを常に支え続けた苦労人。彼の存在がなければ、このチームはここまで成長しなかったでしょう。
和田拓朗。
チーム一の元気者、心の熱さは誰にも負けない存在でした。涙ながらに訴えるその姿は情熱に溢れ、いつもチームメイトの心を響かせ続けたなくてはならない存在。県大会ではベンチ外でしたが、最後の甲子園は誰もが納得のベンチ入り。最後の試合に彼がベンチにいて戦えたことを嬉しく思います。
上石智也。
彼も手術を経験した苦労人。気が強く、学年の若い頃はその気の強さゆえに試合を壊してしまうこともありましたが、人間的成長と共に我慢強く投げることを覚えました。春の選抜の粘り強いピッチングには心を打たれるものがありました。
髙坂右京。
左サイドから投じる球筋は独特で、一年を通じてチームに貢献してくれました。1年生の頃は気持ちが逃げ気味で、四球を連発して自滅・・・そんなことが目立った彼も、新チーム結成以降はどんどん自覚が芽生え、意欲的に練習に取り組むようになりました。体がやっと大人になり始めた時期。大学での活躍を期待します。
内山博道
素晴らしいマネージャー。肩を痛めてマネージャーに転向したのですが、自発的にせめて打撃投手にと左投げの自主練習を始めて、箸まで左手で持って。もちろんマネージャーの仕事は完璧。皆からウッチーと呼ばれる愛嬌抜群の人気者。日本一のマネージャーになると言った内山が、最後に言った言葉が「日本一幸せなマネージャー」。内山もまたこのチームに欠かせない中心人物なのです。
そして、矢吹栄希。
この代を象徴する選手。昨年唯一の下級生メンバーとして甲子園でも大活躍。その後は主将に就任し、その重圧を一手に背負ってくれました。かかる期待になんとか応えようとして考えすぎてしまう傾向があり、何とか開放してやりたいと思っていましたが・・・。各大会を優勝していく裏で、苦しい一年間を過ごさせてしまった。しかし、その重圧に耐え、チームをまとめ上げたこの男なくして、この代は語れません。聖光学院55期生。この代はまさしく「矢吹世代」と言えるのです。最後の打者となった矢吹栄希。彼の苦労が報われる一打を放って欲しかった。しかし、矢吹で終わったのならそれはそれで納得。本当によくやってくれました。本当にありがとう。
敗戦と敗北。ならぬのは敗北。敗戦はどうにもならない程悔しいけれど、選抜のような敗北感はありません。勝負には負けたけど、何ら恥じることはない。応援して頂いた皆様、期待して頂いた皆様には本当に申し訳ないな、と思っています。これで勝てなきゃ、どんなチームが勝てるんだ!という想いもあります。しかし、誰が何といおうと、このチームは本当にいいチームでした。誇りに思えるような、そんなチームでした。
また、我々に目標が出来ました。「矢吹世代」を超えるチームを作るという目標です。でも、それはなかなか難しいな、そんな風に思わせてくれるのがこの「矢吹世代」。
上に名前を載せることができなかったメンバーも含め、3年生、本当にお疲れ様。そしてありがとう。
最後に言わせてくれ!このチーム、心の底から好きだったよ!