職員室から外を見ると補強された柱で視界は狭まられ隙間から見える景色も何となく寂しい。去年、校舎耐震補強のため、それまで四季折々に校舎の回りを彩っていた桜やツツジなどたくさんの樹木が伐採された。それら捨てられる運命にあった樹木の中から霧島ツツジの小さな株をもらい自宅の庭に植えたのを思い出した。翌朝、私の記憶からも消されかけていたあのツツジが朝日に照らされ色鮮やかに自宅の庭を飾っていた。根付いてくれるのか心配しながら植えたことを思い出した。安心した。と同時に元気づけられた。長い間、聖光学院の校舎を華やかに飾ってくれたツツジの根は豊に栄養を蓄え力強い根を張っていたのだろう。そう言えば、私以外も幾人かツツジの株を持って行ったはずだ。それぞれがしっかりと根を張り鮮やかな色彩を放っていることを信じたい。 T.N.