8月の上旬に、東京都内の4年制大学と専門学校を10校見学する機会にめぐまれた。その見学先でまず驚かされたのは、施設の豪華さだ。地上地下をあわせると30階を越える高層ビルキャンパス、六本木ヒルズにあってヒルズアリーナを眼下に見下ろすことのできるキャンパス、ベルサイユ宮殿のような華やかなキャンパス、高速バスを走らせ40分で結ぶ新宿・八王子キャンパスなど、私が学生だったころには、想像もつかない光景だ。もちろん、教育環境もとても充実している。大学病院の薬剤部を忠実に再現した実習施設を持った薬科大学、大学のすべての講義を再受講できるパソコンを完備した学習室、24時間利用可能な図書館、学生の自由な研究開発を資金・施設両面で支援する大学、徹底した衛生管理システムでISOを取得した専門学校、大手企業で人事を担当していた管理職を就職支援室に多数常駐させている大学など、ほかにもたくさんあって紹介しきれない。案内してくださった教職員の方々の目が輝いていたのが、とても印象的だった。夏休み中だったため、学生の利用状況や、感想を聞くことができなかったのは残念だったが、卒業生の就職先・合格率の高さから、各学校が意図するような、学生の真剣な学びの姿が想像できた。充実した見学会を終え、帰路に着く途中、駅の売店で買った新聞の1面を見て愕然とした。「大卒2割就職せず」大学を今春卒業したが、就職も進学もしていない進路未決定者が、5人に1人に相当する約10万6千人にのぼるという、文部科学省の発表だった。さらに留年生も進路未決定者とほぼ同数おり、就職できずに意図的に留年した学生が多いとみている。つまり、卒業を迎えた学生の約3割強が、就職も進学もできなかったことになる。驚くべき数字である。先に紹介した大学では、9割以上が就職しているのだから、半数以上の学生が就職できなかった大学があっても不思議ではない。私は生徒の進学指導に携わっているが、大学の入学案内に載っている就職率はとても大切だが、その就職に至るまでの学生の取り組みや、大学側からの学生に対する支援の在り方を、直接、大学に行って目で見て耳で聞いて、そのうえで進学先を決めることがいかに大切かを、今回の見学会で改めて感じた。生徒・保護者の方には、ぜひオープンキャンパスに参加することをお勧めしたい。 by mmt yk
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