今日は3年生の登校日です。久しぶりに3年生が登校し、学校も活気があります。3年生は卒業式の予行練習を行い、LHRで下校となりました。主な目的は成績発表。自分の成績を担任の先生から受け取りました。出来はどうだったでしょうか!?
さて、卒業生にとっては聖光学院の校歌にもあるように「我が母校」となるわけですね。君たちにとって、この3年間はどんなものだったでしょうか。この3年間が人生の土台となり、生きていくうえでの「原点」になってくれたなら、我々にとってはこの上ない喜びとなります。
平成19年度の卒業生、野球部では初めて春夏連続の甲子園出場を果たした年ですね。この時の選手で相双地区の小高から本校に入学した返見彰君という卒業生がいます。彼は今年1月、晴れて成人式を迎えたのですが、その返見君、なんと新成人代表の挨拶を務めたのです。この文章が、地元広報誌に載っていまして、これを読んで我々関係者は大きな喜びを感じました。
誓いの言葉
本日はお忙しい中、私たち新成人のために盛大な式典を開催して頂き、また多くの御来賓の皆様に御出席賜りまして新成人を代表し心から厚く御礼申し上げます。(中略)
私は中学校卒業後、将来の事を何一つ考えず「ただ野球がしたい」それだけのために高校に進学しました。当時は、慣れない環境や気候、練習の厳しさから、情けない話ですが、何度か自分の選択を後悔し、今すぐにでも地元に帰りたいという気持ちになったことがありました。ですが、周りの環境やチームメイトに恵まれ楽しい高校生活を送ることが出来、野球だけではなく人として大事なことを野球を通じて数多く学びました。私にとって高校野球とは人生の土台です。様々な人に出会い、そこから多くのことを学び、充実した密度の濃い3年間を過ごすことができました。そして何より、親元を離れて生活し、親のありがたさ、親の偉大さを身にしみて深く実感しました。私一人では何もできない。周りで応援、支えてくれる方々いるからこそ私自身が生かされているのだと感じ、本当に今でも感謝しています。(中略)
これから社会に出たら、数々の困難にぶつかると思います。その時は絶対に逃げ出さず真正面から真剣に物事に向き合い、大変なときこそ字の如く「大きく変われるチャンスだ」と前向きな考えで、そして今日という記念すべき日の決意を忘れず、御来賓の皆様から頂いた教訓と激励を胸に刻み、この社会そして地元小高区に貢献できる社会人になるため、精一杯精進していきます。そして人は逢うべき時に、必要な人との出会いがあり、それは決して早すぎず遅くもない時に訪れるものと思います。これまでの出会い、そしてこれからの出会いを大切にし、芯の通った大人として確実に一歩一歩成長していきます。
これから私は、恩師の言葉「一燈照隅」「人生御恩返し」この二つの言葉の本当の意味を忘れず、「芯」の大人として成長していくことをここに誓い、新成人代表の言葉といたします。本日は本当にありがとうございました。
なんと素晴らしい挨拶でしょうか!! 彼は本当にひた向きで、一所懸命な男でした。感受性が豊かで、正義感が強くて…。大会ではサードコーチャーとしてベンチ入りを果たし、卒業後は1年間専門学校に通って目標としていた消防士に一発合格して、現在に至っています。休みの時には定期的にわざわざ学校にも挨拶に来てくれますし、素晴らしい男です。
彼は「高校野球は人生の土台」と言っています。また挨拶の中には、高校時代に学んだ多くの言葉が散りばめられており、今も当時学んだことを胸に現在の生活を送っていることがヒシヒシと伝わってきます。聖光学院は80/3mindを掲げていますが、これは高校3年間が人生80年を決める3年間、人生の土台を作る3年間という意味があり、高校時代はそういう重要な3年間としっかりと捉えて全力でサポートするという思いを表したモットーです。まさに、彼の中の高校3年間は、80/3なのです。
今日登校した3年生もこれから様々な進路に向かって歩き出します。でも、その原点は「高校生活3年間にあり!」と心底思ってくれたなら、我々はその責務を果たしたことになるのでしょう。そして、在校生にもそう思ってもらえるよう、我々教員が情熱をもって生徒達と接すること、これが大事なんだと再認識した返見君の挨拶でした。
さあ、卒業式まであと約2週間。事故なく無事に過ごしてくれることを祈っています。次の登校日は2月25日(木)です。皆さんお忘れなく!! (Yokoyama)