本校福祉コースの2年生においては、6月2日より訪問介護員養成講座2級取得のための講座が開講されます。約半年間の中で、130時間の実習、講義を受け、福祉の現場に携わる者の心構えや介護の技術を身に付ける訓練が始まるのです。この資格は、「人の命を預かることが許される」資格なのだと思います。今はまだ、自分のことで精一杯な生徒たちですが、この資格を取得する頃には、今以上に「相手を思いやれる優しい心」を持った生徒達になっていてほしいと願います。
私は先日、福祉の教員として、生徒達に生きた学習を伝えることができればと思い、学校の許可を得て施設にお願いし、現場の中で体験させていただく機会を与えていただきました。お世話になった施設は、アットホームな空間になっており、職員さんも利用者さんも笑顔が絶えない素敵な施設でした。一日中、お世話になりましたが、常に新しい発見と驚き、感動させられることの連続でした。なかでも、職員さんの何気ない会話のやりとりや表情、常に前向きな言葉が、私には温かさ、生きる気力につながっているのだと感じました。「頑張って」「○○してほしい」などの言葉は一切なく、利用者さんのちょっとしたことに「わぁ~!凄いですね~」とか「今日も表情いいですね」などという会話が、あらゆるところで飛び交っているのです。
「相手を思うことが自分の笑顔となり、その笑顔が相手を笑顔に変えていく」
自然な原理ですが、なかなかできないことです。排泄の処理や入浴介助、利用者さんができない身の周りのことはすべて介助しているのですが、どんなときでも常に笑顔。「どうしてそこまでできるのか?」不思議に思い、素直に職員さん達に聞いたところ、みなさん同じことを答えてくれました。「私達は、特に大きなことはしていません。その方が生きようとしている日々の生活の中で、できないことの一つ一つをお手伝いさせていただいているだけです。そうしただけで「ありがとう。」と言われて、さらにこちらまで嬉しくなってしまうのです。なかには、言葉を話せない方もいますが、その方は、小さな瞳の中で私達に何かをつぶやいているように思えるのです。それが一番のやりがいですね。」職員さんは、利用者さんのために。利用者さんは、職員さんに感謝している。お互い誰かのために生きている。その話を聞いて、私の心も温かくなりました。(Y.I)