学生時代、数学が大・大・大嫌いでした。計算が苦手な上に、数学という教科は合理主義で無機質で、そして利潤(儲け)を追究するための学問だと思いこんでいたのです。それに関数や証明問題なんて社会に出たら使わないでしょうと…。
そんな私に、一年ほど前に東京で測量技師(地形や土地の面積を測る仕事)をしている友だちがこんな話をしてくれました。
「簡単に言うと地球上の全ての地点は経線と緯線を軸にして(x,y)で表されているんだよ。だから測量して距離を出すときは数学の関数の公式を使うんだ。GPSもこれの応用なの。福島にいる佐藤さんと東京にいる私の距離も数学の公式y=ax+bの応用で表されるんだ。遠距離恋愛の時の距離もこれで解るかもね!」
思い出してみると「y=ax+bの式を使って点pと点qの距離を求めなさい。」といった問題を解いたことがあります。目から鱗でした。この公式によって世界が点と線でつながっているように思えてきたのです。あなたと私の距離も、彼氏と彼女の距離もこのy=ax+bで表される可能性があるのです。まるで魔法だ!! そう思いませんか?
よく生徒に聞かれます。
「先生、こんなの勉強してなんの意味があるの?」
確かに勉強している内容が進路や社会には結びつかないと思うことはよくあります。私もそうでした。けれども、ほんのちょっとしたことを知っているだけで世界がまるで違ったものに見えてくることがある。世界や宇宙や人間がどんなものなのかを考える。一見無駄だと思ったものの中に大きなロマンが隠れているかもしれません。そういったロマンチックな体験や感動をたくさんして「ものの見方の基礎」を高校で勉強するのだなぁと改めて思います。
ちなみに今は国語の教師をしています! (佐藤)