2016年4月11日
入 学 式 式 辞
本日は本校理事の櫻田葉子様を初め、新入生をたくさん送ってくださった近隣の中学校の校長先生など、多くのご来賓のご出席の下、聖光学院高等学校の第55回入学式を行えますことを心から感謝申し上げます。折から桜も花開き春爛漫の素晴らしい季節になりました。
新入生の皆さん・保護者の皆様、入学まことにおめでとうございます!ようこそ聖光学院へ!教職員一同心から歓迎致します。よくぞ聖光学院を選んで入学してくれました。急速に少子化が進む中にもかかわらず、定員230名を大きく上回る267名の新入生を迎えることが出来ました。九州福岡県から聖光で野球がしたくて来た生徒、兵庫県姫路から聖光で柔道がしたくて来た生徒など、本当に全国各地から集まってくれました。真に大きな喜びであります。同時に教職員一同、大きな責任を痛感しています。
新入生の皆さん、目標を大きく強く持ち続け、その実現に向けてひたむきに努力してください。「努力は嘘をつかない」ものです。
さて、入学式にあたり三つのことを申し上げ、校長式辞にしたいと思います。
第一は「建学の精神」について、つまりこの学校がどのような思いでつくられ、一貫して何を大切にしているか、についてであります。本校の『15年史』に「本学の提唱者は野田新弼氏であった。氏は昭和28年3月、事業に失敗して死を決意する程の窮地にあった時に教会の門をたたいた。その時アメリカ人宣教師ダン・ビショップ師が、何の縁故も無い氏のために熱心に祈られた。祈る姿に感動した野田氏はキリスト教の信仰に入り、キリストの恵み深い教えと救われた喜びに満たされた。その喜びと感謝を多くの人々に伝えるには何をなすべきかと考え、当時信仰の導き手であった穂積与四郎牧師にたずねた。先生は「学校をつくりなさい」との答えであった。それ以来野田氏はそれを心にとどめ祈っておられた。幸いに事業が好転し、昭和35年暮れ学校設立の意志を明らかにされた」とあります。こうして、遠藤道雄現理事長のお父様である遠藤修司先生を初代校長に迎え、「神と共に働く人に」を建学の精神として聖光学院高校はスタートしました。校門にギリシャ語で「アガペー」、日本語で「愛」と刻まれています。このことが示すように、本校は聖書の説く愛を最も大切にしている学校でもあります。5年ほど前の朝、一人の本校生、彼はサッカー部員でしたが、自転車で福島方面から4号線を学校に向かって走っていました。すると歩道上で苦しがっているおばあさんを見つけました。彼は瞬間どうするか悩みましたが、そのおばあさんを背負って近くの交番に届け、名も名乗らずに登校しました。この生徒の愛の行動に感激したこのおばあさんは、学校にお礼の電話をくださいました。この皆さんの一先輩のしたこと、これこそ〈愛〉です。何の得にもならず、むしろ遅刻など損をするばかりなのに、「・・・にもかかわらず行動を起こした」愛です。
第二に申し上げたいことは、希望をもって聖光学院に入学された皆さんを指導する本校の教職員は、自分を磨きつつ、全力で皆さんを指導し、サポートしていくということです。宮沢賢治の作と言われる「私が先生になったとき」という、次のような詩があります。
私が先生になったとき
自分が真実から目をそむけて
子どもたちに 本当のことが語れるのか
私が先生になったとき
自分が未来から目をそむけて
子どもたちに 明日のことが語れるのか
私が先生になったとき
自分が理想をもたないで
子どもたちに いったいどんな夢が語れるのか
自分が先生になったとき
自分に誇りを持たないで
子どもたちに 胸を張れと言えるのか
私が先生になったとき
自分がスクラムの外にいて
子どもたちに 仲良くしろと言えるのか
私が先生になったとき
ひとり手を汚さず自分の腕を組んで
子どもたちに ガンバレ・ガンバレと言えるのか
私が先生になったとき
自分が闘いから目をそむけて
子どもたちに、勇気を出せといえるのか
この詩は、「教師たる者、自分の生活のためにただ漫然と勤めるサラリーマン教員であってはならず、自分が教える教科においても、人格においても、自分の教育に対して責任を感じ、教育への情熱を持ち、自ら生活の基本ルール・習慣を身に着ける闘いを辞さない教師でなければ、教育はできない」と言っています。本校の教師たちは、ここに書かれている教師像を目指して、ひたむきに努力しつつ、君たちの教育・指導に力いっぱい当たることを誓います。
第三に申し上げたいのは「挨拶」と「お礼」の徹底です。「挨拶」と「お礼」は人間として基本の基本です。しかし一般の高校生にはなかなか出来ません。でも本校は違います。本校に来られた誰もが驚き、褒めてくださるのは、生徒たちの挨拶の素晴らしさであり、生徒たちが「有難うございました!」と口に出してきちんとお礼を述べることです。これは日本中のどの高校にも負けない本校の長所です。新入生の皆さん、この先輩たちの素晴らしいところを吸収して、君たちも大きな声で「お早うございます!」、「有難うございます」と言えるようになってください。きっと毎日が楽しく元気いっぱい過ごせます。
最後に、皆さんの今日からの聖光学院での生活の上に、神様の豊かな導きと祝福がありますように心から祈り願いつつ、校長式辞と致します。
2016年4月11日 聖光学院校長 新井 秀