「あなたがたは地の塩である」
2019年、新年明けましておめでとうございます。
皆様にとりまして本年が幸多い充実した一年でありますよう祈り願います。皆様にはいつも聖光学院高校を愛し、支え、応援して下さいまして真に有難うございます。教職員を代表して心からお礼を申し上げます。
さて、新年にあたり、、聖書のイエス様の言葉「あなたがたは地の塩である」(『マタイによる福音書』5章13節)を共に学び、共に味わいたいと思います。
塩は昔から人間には欠かせない大切なものであり、塩がなければ人間は死んでしまいます。夏の甲子園の応援には、塩分の入ったスポーツドリンクが手放せませんでしたし、塩飴も舐めました。昨秋沖縄の修学旅行に行きましたが、「雪塩」や「雪塩ちんすこう」といった塩製品が人気のお土産品でした。古代ローマでは、兵士たちの給料を塩で払ったり、塩を購入するための特別手当が支給されたりしたそうです。塩のことをラテン語で「サル」と言い、そこから英語の「ソルト(塩)」や「サラリー」・「サラリーマン」等の言葉が生まれました。
イエス様はこの言葉で何を言いたかったのでしょうか?イエス様は何の説明もされていませんので、私の理解することを話したいと思います。私が塩から得られるイメージは大きく次の三つです。
第一は、真っ白な塩からイメージされる「純潔」「純粋」。
第二は、肉を腐らせないなどの防腐剤としての働き。
第三は、極めて少量で、しかも隠れて、料理に大切な味付けをすること。
この中でイエス様が強調したかったのは、三番目ではないかと私は思います。カレーやシチューを作る時、いくら高級な牛肉を使おうと、採れたての野菜を使おうと、一つまみの塩が入らなければ美味しい料理にはなりません。しかも塩は極少量、溶けてしまって見えず、塩の存在は人間の目には見えません。でも一つまみの塩が肉や野菜のうま味を引き出し、美味しいカレーやシチューを作り出します。
私たちは、一人間として一教師として「地の塩」でありたいと思います。その秘訣は、イエス様のお言葉「あなたがたは地の塩である」にあります。具体的には、塩の持つ特性である①それ自体真っ白で純真・純潔であること、②極めて少し用いられること、③自分の存在は目立たず見えないこと、④でも、他の持っている素晴らしさを引き出していること、です。このような塩の特性に倣うことが大切なのだと思います。
新しい2019年、生徒たちの中で、先生方との間で、我々一人一人がイエス様が言われるに「地の塩」であり続けたいと思う者であります。
皆様、本年もよろしくお願い致します。
聖光学院高等学校 校長 新井 秀