本日5・6校時、平成21年度訪問介護員養成講座(2級課程)の閉講式が実施されました。福祉コース開設から4年連続でホームヘルパー2級の取得率100%を達成しました。
閉講式では、受講した福祉コース2年生に修了証書が授与された後、新井 秀校長が祝辞を述べました。また、県北中出身の永井 貴大君、霊山中出身の森 由江さんが、1年間の活動報告やどんなことを学んだのかを「生徒代表報告」として発表しました。
介護技術発表会では、生徒が主導となり司会進行を務めながら8件の発表を行いました。
いずれも、通常の授業において学習済みのことではあるものの、実際にその現場で行うことの難しさを伝えていました。
① 高齢者疑似体験
② 車椅子の使い方
③ レクリエーション
④ ベッドからの車椅子移乗
⑤ オムツ交換(着脱)
⑥ 褥瘡の予防
⑦ 体位変換
⑧ とろみ・ミキサー食
この式には、これから資格取得に向けて動き出す1年生も出席。資格を取得する過程で様々な経験をして成長した先輩の言葉に、真剣に耳を傾けていました。
生徒代表報告 その1 永井 貴大 君
私には一つの夢があります。その夢とは将来、必ず「介護福祉士になる」ということです。実習に行く前までは「介護福祉士になりたいな」という憧れ的な存在でしたが、今回の実習を終えてからは強い思いへと変わりました。5日間の実習は私にとってすべてが初めての体験であったため、新鮮な空気の中、充実した日々を過ごすことができました。受け入れてくださった施設や講師の先生方には心から感謝しております。
初日を迎えた日は先走る気持ちを抑えながら施設へ向かいました。最初は、利用者さんや介護士さんの動きを見て覚えるため、オムツ交換などを見学していましたが、担当者の方から「実際に体験してみたら」という言葉をいただき、これは願ってもないチャンスだと思い、やらせていただきました。初めての体験で頭が真っ白になり、何がなんだかよくわかりませんでしたが、とにかく必死にやらせていただきました。うまくできたかどうかは別として、とにかく利用者さんに迷惑にならないようにと、一生懸命取り組むだけでした。
2日目は初日以上に衝撃的な1日でした。なんとこの日のメインの介助は入浴介助です。しかも、女性の利用者さんというのですから、さらに驚きです。介助の知識は学校で学んだ講義などである程度はわかっているつもりでしたが、実際に人の体を洗うのは初めてだったので複雑な気持ちでした。しかし、目の前に利用者さんがいる以上、「わからない」「できない」などとは言っていられません。とにかくやるしかない状況です。入浴介助では、洗う順番があるので、その順番を間違ってはいけないと思い、一人一人の利用者さんを大切に洗わせていただきました。技術は別として、心を込めて洗わせていただきました。そんななか、○○○に麻痺のある利用者さんもいました。その方は自分で洗えるところは自分で洗おうとするのです。動きにくそうな手でゆっくりゆっくり洗っている姿はとても感動しました。どんなに困難な状況であっても、それでも前向きに生きようとする精神的な強さを利用者さんから学ばせてもらいました。
3日目・4日目は、同行訪問をさせて頂きました。家で生活を送られている利用者さんの家を訪問し、料理や入浴の手伝いをしました。施設で行われる介護とは違い、それぞれの家庭にあるものを上手く工夫しながら介護を行っていたのが、とても印象的でした。
実習最終日は、デイサービスセンターでの実習です。送迎車に揺られながら、利用者さんがデイサービスに着くと、私はまず一人一人の利用者さんに挨拶をすることから始めました。デイサービスを利用する方は比較的自立度も高いため、コミュニケーションを図ることや様々なレクリエーションなども説教的に参加していました。この日は、折り紙だったので、利用者さんと楽しくコミュニケーションをとりながら折ることができました。利用者さんが帰るとき、私は利用者さん一人一人と握手をさせてもらいました。そして、利用者さんから「ありがとう」という言葉をかけていただいたとき、私は嬉しくて涙がでそうになりました。特別に何かをしたわけでもない。むしろ慣れない私のほうが返って迷惑をかけていたと思う。そんな私を励ますような、温かくありがたい言葉をかけていただき、最後の瞬間はこれほどない感謝の気持ちでいっぱいでした。
一年生のみなさんもまもなく実習が始まります。福祉の授業は、他の授業とは違い、生きた内容です。点数を取るためだけでなく、人の命に、生死に関わる者として学ばなければならない大切なものです。自分の知識のなさが利用者さんに迷惑をかけます。真剣に取り組んでください。私も必ず介護福祉士となり、社会に貢献できるような人間になりたいと思います。
生徒代表報告 その2 森 由江さん
私は5日間の実習を終えて感じたことが3つあります。1つ目は「自分の力の無さ」です。実習前は多少不安もありましたが「何とかなるから大丈夫だろう」という甘い考えを持っている自分がいました。しかし、実際に介護の現場に立ってみると「何とかなる」では済まされない厳しい世界だということを痛感させられました。実習では主に、生活援助や身体介護、コミュニケーションを図ることでしたが、どれも簡単なものではありません。なかでも、コミュニケーションを図るということに関しては悔しいほど、何もできない自分の姿しかありませんでした。いつも以上に言葉遣いなどには気を付けていたのですが、声が小さくなってしまったり、話すペースが速かったりと利用者さんのペースに合わせられず、挙句の果てにどうしようもなく、沈黙になってしまうことも多々ありました。その場は、介護者さんに違う話題を出していただき、何とかコミュニケーションを図れるようになりましたが、今の私ではコミュニケーションの一つも図れないというのが現状の姿です。実習終了後、どうしたら上手にコミュニケーションを図ることができるか考えてみました。私は相手に合わせることなく、自分のペースでどんどん話をしていることに気が付きました。そのペースに相手が私に合わせてくれているのです。そういう普段の小さな事がこういう場面で無意識のうちに出てしまうのだと改めて思うことができました。
次に2つ目は「介護者さんの洞察力の鋭さ」です。これには驚きました。実習中、何気なく利用者さんとコミュニケーションを図っていると、介護者さんが利用者さんの異変に気づき、すぐさま対応していたのです。私の目には普通に元気そうにしか見えなかったのですが、その利用者さんは少し熱があったそうなのです。幸い大事には至りませんでしたが、そのような少しの異変に気づく介護者さんの洞察力の鋭さに私はただただ驚くばかりでした。ちょっとした仕草や声の張り、表情などからいつもと違うと察した洞察力と判断力には経験の豊富さを感じました。
3つ目は「意志を尊重すること」です。これは、特別養護老人ホームで実習をしていたときのことです。私が利用者さんの話を聞いていると、突然「次、自分の家に帰れる日は死んだときかなぁ」と言い出しました。何気ない一言でしたが、その言葉の思いは凄く切なく、胸が張り裂けそうなほど苦しくなりました。私は今まで施設に入所すれば安心できる環境なので、本人のためにも良いとばかり思っていました。しかし、その考えは少しズレがあることに気づきました。確かに施設においては環境が整備されており、ケアの面においても充実しています。しかし、人間誰でも寂しさや孤独感を感じます。ましてや高齢になればなるほどその思いはさらに強くなるのでしょう。長年住み慣れた家での生活や、大好きな家族と一緒にいたいはずです。その思いを現実に変えるために私達にできることは、一日でも早く自立できるようサポートし、本人の意志を尊重できるような生活を送ることができるような介護士になりたいと思います。
今回実習をさせていただき、実際に利用者さんと触れ合うことで様々なことを学び、考えさせられ、私自身の人生観が変わりました。福祉という仕事は決して簡単な仕事ではないとわかっていながら、それでも人を支えることができる仕事に就きたいと改めて思うことができました。今回の実習で経験させていただいたことを生かし、これから自分自身を磨いていきたいと思います。